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ゆかたあれこれ 浴衣を知る

浴衣の生地について

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こんにちは。銀座喜染の遠藤です。

 

皆さんは浴衣を選ぶ時にどんな基準で選んでいますか?私は初めて買った時は単純に好きな色・柄で選びました。だけど浴衣に慣れてきて次はどんなものを買おう!と思うと、素材だったり織り方・染め方などが気になってきてしまう性分で、お店であれやこれやと聞いたりした思い出があります。浴衣は着物の中でも取っつきやすく、柄によって格が変わったりすることもない分簡単なイメージですが、実際その世界を勉強し始めるとそこに結集された技術は果てしがなく奥が深いです。

 

浴衣の生地の種類という観点で見ると、「紅梅」「絽」という言葉はよく耳にするかと思います。これはどちらも生地の織り方の名前です。素材には基本的に綿か麻が使われ、綿で紅梅や絽に織ったものを「綿紅梅」「綿絽」と呼びます。

 

この紅梅や絽のような織り方はまた別の記事で詳しく書きます。本日は、浴衣に使われる綿、麻などの素材のお話をします。

 

綿素材の浴衣

浴衣の素材といえば綿が代表的です。綿は厳密に言うと”ワタ”と読み、コットンを指す繊維の事は”木綿”と言います。ですが実際に販売されている浴衣の品質表示にはコットンの事を綿と表記し、木綿と同じ意味で使っています。

 

元々湯上り着として着られていた歴史のある浴衣ですから、吸水性が高く肌触りの良い綿は使用する素材としては最高です。

 

ちなみに同じ綿素材でも、浴衣ではなく木綿の”着物”として着るものもあります。主な違いは生地の厚さと柄行きです。

 

麻素材の浴衣

麻は綿が一般に普及する以前から、庶民の着る衣服の代表的な素材でした。パリッとした質感は慣れないと着づらい、という方もいらっしゃいますが、吸水性・速乾性・通気性に優れていて、汗をかく夏には和洋ともに人気の素材です。

 

綿に比べると洗った後にしわになりやすくお手入れが難しい特性から、麻100%ではなく綿と混紡の浴衣が一般的です。綿と麻の割合は浴衣によって異なります。

 

私はこの麻のシャリっとした生地感が好きで、2枚目の浴衣はこの綿麻の浴衣にしました。麻の割合が高いほどこの風合いが楽しめるので、好きな方はこの割合を見て実際に触ってみるという選び方はおすすめですよ。さらに私は、麻の素材感が見た目にも分かる生成り色の浴衣の中から選びました。同じく麻を使っていても、全面が染料で染められた浴衣に比べて無地場がある綿麻の浴衣は、麻ならではの自然な色合いが楽しめるんです。

 

ポリエステル素材の浴衣

先ほどもお話しした通り、湯上り着として着られ、汗を吸って肌触りの良い事が魅力の浴衣。それなのにポリエステルの浴衣、と聞くと目的から逸脱しているように感じますが、浴衣がおしゃれ着としてお祭りや花火大会で着られるようになった現代には有用な素材と言えます。さらに技術の発展に伴って、ポリエステルなのに吸水性・速乾性に優れているものもあるんです。

 

ポリエステルの最大の魅力は洗濯が簡単でアイロンもいらないという所でしょう。張りや光沢感があり、綿や麻の浴衣にはない色柄の出方も特徴です。

 

まとめ

ご紹介した通り、浴衣の素材は基本的に綿か麻、最近はポリエステルも増えてきているという事でした。さらに深堀りしていくと同じ綿でもコーマ糸と呼ばれるものがあったり、小千谷縮みには苧麻(カラムシ)という植物からとった麻糸を使用しているなど調べ始めるとキリがありませんが、こちらでお話しした3つの素材の特徴だけでも知っておくと、どんな浴衣を選べば良いか分からなくなった時にも一つの基準になるのではないでしょうか。

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