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ゆかたあれこれ 浴衣を知る

夏着物と浴衣

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一度これについては書いたのですが、なんだかしっくりと来なかったのでもう一度書きます。浴衣は着物になりえるのか?浴衣は着物なのか?答えは夏着物にはならない。浴衣と夏着物は着るものという点で両方とも着物ではあります。でも成り立ちが異なります。例えば洋服という範疇でTシャツとスーツは同じ洋服ではあります。スエットスーツはスーツになりうるのか?スエットの生地を使ったとしてもスーパー120のウールを使用した立派なスーツになることはありません。

 

これらの理由はそれぞれの衣装が生まれた背景にあります。スエットスーツはそもそもトレーナースーツともよばれ、軍隊などで運動用に製造された生地を使用した運動するための洋服です。用途が違うものを他の用途に転用することはできますがしっくりはきません。浴衣が夏着物になりきれないのはそういうことかもしれません。その逆もしかりでスーツはスエットスーツになりませんし、夏着物も浴衣になりえません。

 

浴衣はそもそも湯帷子(ゆかたびら)と呼ばれ、平安時代、入浴の際に着用されていた麻の単衣が語源です。そのために浴びる衣と書きます。その次の段階では木綿の素材に変わり、お風呂上がりに汗を吸い、風通しが良いことから湯上がりに着るきものになりました。次に寝る時に着る寝間着になりました。旅館などではまだまだ寝間着として浴衣をだされますよね。今のように夏におしゃれ着として浴衣が着られるようになったのは江戸時代からです。

 

江戸は当時世界でも有数の大都市。運河の街だったということで当時世界中見渡しても江戸くらい公衆衛生が保たれた都市はなかったとのこと。その江戸で江戸中期から後期にかけて流行したのが公衆浴場。この頃から湯船に浸かり体を洗うようになったそうです。湯上がりに浴衣をバスローブを着るように着て汗を拭き取っていたのが徐々に外に着て出られるようになっていったとのこと。

 

それ故に、浴衣は汗を吸い取りやすい木綿の生地で作られています。夏着物はどうなのか?夏着物は直接肌に触れるようには織られていません。襦袢を着てその上に着るように透け感がある素材が多いです。実際にその生地がこちら。

 

生地の奥にいる人が見えていることから相当透けていることがわかります。襦袢を着ても暑くないようという工夫がなされているのが夏着物。夏の機能性度外視の完全無欠おしゃれ着が夏着物。浴衣は夏の機能性重視のおしゃれ着なのです。

 

浴衣を夏着物として着ることはできるかというとできるものの、浴衣であることに変わりはありません。例えば浴衣と同じ素材の木綿の夏着物もありますが、先程の画像と同じ様にやはり透けるくらいに薄く織り込まれています。それぞれの用途に合わせた作り込みがなされています。夏着物として着られないことはないものの、やはり夏着物は夏着物。浴衣は浴衣です。

 

浴衣は夏着物にない良さがあります。

1.着心地が良い

2.染が鮮やかで種類が豊富

3.メンテナンスしやすい

これらの利点を活かしてご自分がお似合いになる自分に合った1着。逸品をお選びくださいませ。

 

 

 

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