浴衣の方向。浴衣を着る時に常に話題になるのが右?左?どっちが前なのか?ということです。右前でも左前でも着物を着たことに変わりないのでOKですと言いたいです。本当に。夏の暑い日、お祭りや花火大会に出かけようとする若い女性が浴衣を着て待っているところに、下駄を鳴らしながら駆け寄ってくるこれまた浴衣姿の男性。額には汗をかいて彼女に「待った?ごめんね。」と言いかけた瞬間にその二人の間に割って一人の老女が入る。老女が男性に向かって「あんたちょっと恥ずかしいわよ?そんな着付けして。」とすごいう剣幕でまくしたてる。それを見た彼女はポカンとし、男性はなんのことかわからず老女にすみませんと謝る。その後のデートはなんだか振るわず、そのデート以降二人は疎遠になっていった。左前、右前で若い男女が別れてしまうことなんてあると思います。そんな事になるくらいならどっちでもいいとは思うのですが、着物文化では右前が正しい着方で、左前は死者の死装束のときのものとされています。
そんな冗談はさておき、ここで注意したいのが右前といった時に最後に右が前になるのではなく先に右を前にする。左をその上から覆うので右前と言われても逆に着付ける方もいらっしゃるのではないかと思います。先に右の右前が正しい着方です。なぜこれが正しい着方になったかというと法律が出来たからです。
遡ること1300年右衽着装法という法律が719年に制定されました。この法律が制定されていこう日本では右前が正しい着付けとされるようになりました。これ以前の古墳などから見つかる絵画や土器では左前のものも見つかるようです。一説には右前は弓矢を引く時に着物にかかるので、中央アジアから東アジアにかけて栄えた騎馬民族などは左前、それ以外の東アジアでは右前だったとのことです。今も着物の着方は右前が正しいとされるのは、この時の名残なんですね。
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