夏になると百貨店などに沢山並ぶ浴衣には、本当に色とりどりの柄がありますね。現代では浴衣の柄もインクジェットといって、機械で染められるようになり、柄付けの表現の幅も広がりました。では、インクジェットの技術が出来る前は、どのようにして浴衣に柄を染めていたのでしょうか?
現代でも残っている代表的な技法は、”注染”と呼ばれる型染めです。表からと裏からの二度にわたり染料を注ぐため、両面がきれいに染め上がるのが特徴です。具体的な手順は以下のようになります。
①糊付台に型を打ちつけて固定します。晒し上がりの生地を置き、生地の上に型を下ろします。
②染めない部分は染料が入らないよう、海草から作られた※防染糊(ぼうせんのり)を、へらを使って敷きます。
※染料が付かないように敷く糊
③糊付けする位置がぴったりと合うよう、浴衣のサイズで生地を折り返します。生地の折り返しには相当の技術を要し、細かい柄ほど念入りに行われます。一回生地を折り返すごとに糊を付けていきます。
④糊を固定させるため生地の表面には、おがくずがかけられます。
⑤おがくずを箒でならします。
⑥型置きされた生地を、染め台の上に置きます。
⑦染める色ごとに、防染糊を絞り出して「土手」と呼ばれる囲いを作ります。
⑧土手に合わせて表から染料を注ぎます。“やかん”などと呼ばれる、じょうろのような道具を使います。
⑨色の数分だけ繰り返します。
⑩コンプレッサーで下から吸入することで重なった生地に染料を通します。
⑪生地を裏返し同じ方法で再度染めます。この裏表のない染め上がりが注染最大の特徴になります。
⑫余分な染料や糊を落とすために、機械や人の手を使ってふり洗いします。生地を等間隔でたぐり寄せ、長い洗い場で泳がせます。この作業は、かつては川で行われていました。
⑬竿で高い場所から干して乾かします。
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