浴衣の帯は、全体の印象を決める大事な要素です。浴衣とセットになって販売しているものを持っていた場合も、帯を変える事で同じ浴衣でも異なった表情が楽しめます。
出かける場所や気分に合わせて帯を選んだり、結び方を変えたりすることで雰囲気が変わり、浴衣の着方の巾が広がり楽しみが広がります。浴衣と合わせて好きな帯を探してみましょう。
浴衣の帯の種類
カジュアルな装いである浴衣には、それに相応しい帯があります。まず帯と一口に言っても、織り、幅、長さ、色、柄と多様です。帯の種類にあった結び方も違ってきますので、選ぶときはそんな種類ごとの特徴を理解すると選択しやすいです。
また女性用と男性用でも形が違いますが、今回は女性用の帯についてご紹介していきます。
半巾帯
浴衣に締める帯の多くはこの半巾帯です。半巾帯とは幅が約16cm程度(四寸幅)の帯を言います。長さはおよそ4m前後です。
着物に締める帯としては、お太鼓結びで締める袋帯がよく知られています。半巾帯は、この袋帯に比べて約半分の幅という意味です。浴衣以外にも小紋などの比較的カジュアルな着物に締められ、手軽さが魅力の帯です。
へこ帯
柔らかい生地で簡単にリボンのように結べる帯です。兵児と呼ばれる薩摩の男子が締めていたことから名づけられているといいます。
子供用や男性が家で締める帯として多く使われていましたが、最近では大人の女性が締められるへこ帯もたくさん登場しています。帯結びが分からなくても巻いて締めるだけなので、あまり浴衣を着た事のない方や、外国の方にも人気があります。
基本的な帯の結び方とアレンジの方法
帯には様々な結び方があり、結び方によっても雰囲気を変える事が出来ます。
半巾帯の文庫結び
半巾帯の基本的な結び方で、YouTubeなどでも「帯の結び方」と検索すると、最も多く紹介されています。半巾帯の張りのある生地を活かした、年齢を問わず使える結び方です。
基本は、長い垂れの部分を残して胴に二巻きした後、帯を一結びします。その後、垂れの部分を何重かにたたみ羽根にします。残った短い方を羽根の中央に巻きつけたら出来上がりです。しっかりと張った羽根が、キリリとすがすがしい印象を与えます。
貝の口結び
貝の口結びは男性の帯結びとして一般的ですが、女性の半巾帯でも出来ます。きりっとした雰囲気で、椅子の背もたれに寄りかかっても崩れないので、観劇をしたりする際に便利な結び方です。
結び方は以下の通りです。
まず手先と呼ばれる部分を取ります。帯幅の約3倍の長さをとり、幅を半分に折ります。この手先は左手にもったまま、残りの部分(ここをタレと言います)を胴に2~3回程度巻きます(体型によって調整)。
最後にタレと手先が同じ長さになるよう、タレを内側に織り込みます。タレを上にして手先と交差し、下から上に折りあげます。さらに手先を右斜め上へ折りあげ、タレをからめて結びます。
形を整えて、結び目を後ろに回したら完成です。
へこ帯の蝶結び
へこ帯を胴に二回ほど巻きつけて、後ろで蝶結びをするだけの簡単なものです。ふんわりとしてボリュームがあり、華やかで可愛い印象になります。
へこ帯の都結び
蝶結びよりも落ち着いた印象の結び方です。爽やかな見た目で、年齢を問わず締められます。
これは蝶結びを少しアレンジするだけで出来ます。蝶結びをした後のタレの部分を、結び目の下を通して引出し、結び目の上からかぶせる結び方です。
浴衣に似合う帯を選ぶコツとは
着物好きにとって帯選びはとても楽しいものです。
特に浴衣は、洋服では少し気おくれするような大胆な色や柄も挑戦しやすく、浴衣も帯も両方柄同士の組み合わせを楽しめます。
ただ色の組み合わせやどんな柄を組み合わせるかは大事です。帯は浴衣とのバランスを考えて決める事が、上手に浴衣を着こなすポイントです。
同系色
浴衣の色味によって印象は変わりますが、いずれの場合も浴衣の色や柄のもつ印象を強調できる選択です。例えば紺と白がメインの浴衣に紺の帯を合わせれば、落ち着いた理知的な印象、黄色がメインの浴衣に同系色のオレンジを合わせれば明るく若々しい印象になります。
反対色
あえて反対色を選ぶことで印象を際立たせるという合わせ方もあります。一つ間違えるとちぐはぐな印象にもなってしまいがちですが、上手く合わせれば通なコーディネートになります。
まとめ
色も柄も豊富なバリエーションのある帯ですから、そのコーディネートも無限大に考えられます。また「着物一つに帯3本」と言われるくらい、昔から帯はコーディネートに重要な役割だと考えられています。
是非自分なりの組み合わせを考えて浴衣をより楽しんでください。